片翼を待つ -Waiting for the other wing-

2024年に発行したコピー本です。原作軸の両翼。WCI篇については度々書いているように相当こじらせているので、こじらせ始めた当時に初めてSSらしきものを書き散らした時の草稿を元に作り直しました。 「ナミすわんは、おれが守...

キャパオーバー

サンゾロマンスリーお題「呑みデート」に寄せたものです。 「取り敢えず、飲まねェ?」  話を切り出す場所を考えあぐねていたもんだから、こいつの軽いノリの誘いは好都合だった。 こいつには理解できる話じゃない事は分かってた。こ...

エーリュシオン

2025サンゾロ週間で書いたSS。海賊、つかの間の陶酔。  船尾近くの甲板のへりに、その男は柵にもたれて立っていた。悠然と、両肘を柵の上に預け、片足を交差させて。 その男に向かっておれが一歩一歩近づくと、すぐに察してこち...

秘花―Another Story-

サンジ視点の「秘花」。その後のエピソードも少し……(前話「秘花」を読んでからお読みくださいね!)  その男は、確かに異質な存在だった。  レディと一緒に最初に店に来た時のことは正直言って印象にない。女連れの野郎については...

秘花

ゾロの片恋シリーズにて書いたサンゾロです。現パロ。  いつもの道を歩く。  薄紅の帳が一帯に降りる頃。住宅地の途切れた辺り、耕すのを忘れられた荒れ田を過ぎ、立ち入り禁止の看板が立つ溜池の鉄柵が並ぶ道を通り抜けると、放置さ...

コペルニクス的転回

2024年の真ん中バースデーに寄せて書いたものです。一応海賊。  身動きが取れない。 そんなことはこれまでも幾たびかあった。足元からろうで固められたり、大げさに包帯で全身をぐるぐる巻きにされたり。 けれど今回のはちと話が...

KEY

現パロ。定番の番号ネタだと思いますが煎じてみた  失態に気づいたのは改札に入る直前だった。スマホの在りかは間違いなくこの借り物のキャリーケースの中だ。 急いで開けようとして、とんでもない事態であることを認識した。 よりに...

交点

サンジのある呟き  生きるってのはとことん無様なもんだ。蔑まれ、虐め抜かれてボロ雑巾になって、誰からも必要とされず、それでも腹は減って喉が渇く。雑巾の搾りカスを必死に啜り、伸ばした手の先に僅かな光があれば人間は生きようと...

闇と凪

海賊、WCIを経た後くらい。これはあの時のサくんの心の傷を感じ取ることのできるゾ。  あのぐる眉が黙って静かでいる時に、何を考えてやがるのかおれは知らない。知る気もない。大抵はメシの事か女の事か、どっちかしか無いだろうと...

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