サンジのある呟き
生きるってのはとことん無様なもんだ。蔑まれ、虐め抜かれてボロ雑巾になって、誰からも必要とされず、それでも腹は減って喉が渇く。雑巾の搾りカスを必死に啜り、伸ばした手の先に僅かな光があれば人間は生きようとするんだ。地を這いつくばっても。誰かを犠牲にしても。空を行く鳥から見ればなんて無様なんだろう。そうやって助けられた命を誰かの為にまた使う。ボロ雑巾でも役に立て。そうやって息をして、カッコ悪く生きながらえればいいと思ってた。今もそう思ってる。
そんな無様なおれの対岸に、あの野郎が立っている。
刹那にその命を賭け、鮮烈にいまを翔ける男。刃の切先には常にいつ途切れるとも知れない明日がある。それでも描く美学は確かな鼓動を打ち、その軌跡のなんと美しい事か。
何処までも対極をゆくお前とおれとの交点は、ただ仮初めか、それとも刻み付けられた永遠か。
永遠だといい。そうお前に言える日がいつか来るかもしれないさ。