「愛は、愛は、愛はぁ〜♪」
「うるっっっっせェな! キモい歌バカでけェ声で歌うな!」
「あああん? ったくこれだから藻頭はよ。愛の上澄みのひと雫でも解そうって気には……ならねェんだろなあ?」
「何を宇宙語喋ってやがる。うるせェから静かにしろって言ってんだ」
「マリモくん、愛ってのはな、黙ろうとしても勝手に溢れ出てくるもんなんだよ」
「んじゃ蓋でもしとけ」
「無駄だ、愛はマグマなんだ、抑えようとすりゃあするほど圧力で大爆発起こしちまう」
「……知ったようなこと抜かすが、そのあぶねえのは一体どっから湧いてくんだ」
「どっから? さあ、な……執着?」
「あぁ? 執着?」
「なぁマリモ。執着は、愛だと思うか?」
「あい? ……そりゃ全然別もんじゃねェのか」
「おれも、そう思ってた」
最近まではな。
おれの思う愛ってのは、もっと丸くて優しくて、気分の良いもんだと思ってた。
そうありたい。これからもずっと、愛には幸せ、ってやつが寄り添ってて欲しい、そう思うから。
抑えようとすればするほど爆発しそうなこんなもんは、とうてい愛なんかじゃない。もっと醜くて、ひどくしつこくて、ゆっくりと内部から蝕んで来る、得体の知れない怪物みたいだ。地の底にどろどろと蠢いて、きっかけがあれば噴き上がってくる。お前に与えたいのはこんなモノじゃないから、だからおれは常に蓋を探してる。
「うん、やっぱり執着、だ」
愛なんかじゃないさ。愛なんかじゃ。